司法書士石田光曠のひとり言
■空き家の本質
2015年10月7日
先日、ある方から、「相続した田舎の実家が、空き家のまま放置してあるのが心配で・・・」という相談を受けた。どうして処分しないのかと尋ねたら、嫁いだ妹が、「実家が無くなったら寂しいから置いておいて」と言われていて、処分したいができないのだという。
「生まれ育った家を人手に渡したくない。」だとか、「親の荷物を捨てられない。」「仏壇を引き取れない。」という理由だけで、実家を空き家として放置しているケースは少なくない。中には、「自分の本籍地だから、人手に渡したくない。」という何の意味もない身勝手な理由も耳にする。
なんて社会性の無い発想だろう。また、それを許す法制度も異常である。欧米では考えられない事態だ。
空き家は、周辺住民にとって精神的な恐怖であり、火災上、防犯上だけでなく、小動物や害虫の害の発生源として事実的な損害をもたらしている。また、このような事実はあまり知られていないことだが、地域自治や地域経済の足かせにもなっている。
不動産は、私有財産であるとともに、社会の公共的インフラ資産でもある。自分が管理しきれない使わない不動産は、一刻も早く、社会にお返ししなければならないという発想を持っていただきたいものである。